株式会社エアー 藤本 俊也
企業にとって必要不可欠なものの一つは、社員です。
企業は、採用から教育に至るまで膨大な投資を行い、その「人財」が将来活躍することができるように成長を促します。
その一方で、日本もかつての終身雇用の時代は終わりつつあり、人は自己のさらなる飛躍、キャリアアップ、待遇改善を目指して「転職する」ことが珍しいことではなくなりました。
世の中もその状況を反映し、転職市場が一つの大きな市場として成り立っています。
企業も人材ビジネスを行う会社も優秀な人材の確保にあの手この手を尽くしています。
しかし、手塩に掛けて育成した優秀な社員が、理由はともあれ、退職してしまうことは、企業にとって様々な損失が発生することになります。
- 退職者と取引のある企業との信頼関係(再構築が必要)。
- 退職者の後任を新たに採用、教育するためのコストや時間。
- 退職者が担っていた業務を別の担当者に引き継ぐための引継ぎコストや時間。
- 退職者が職人的、専門的な業務を実施していた場合、補填に時間がかかり、場合によっては数年かかることもある。
- 他の社員のモチベーション低下に繋がり、同じチームや社内でさらに退職者が出る可能性が高まる。
また退職者が同業他社へ再就職した場合など、意図的な悪意が無い場合であっても顧客情報等の重要な会社の資産、さらには製品技術等、少なからず流出してしまう可能性があります。
転職が特別なことではなくなったこの時代、一般的な退職理由の多くは、給与や昇進、福利厚生、人間関係等の内部要因が挙げられ、これらを食い止めるため企業が努力することはもちろんですが、下記のような外部要因が、退職のきっかけになってしまうこともあります。
- 転職サイト、求人情報サイトからのダイレクトメール
- スカウト会社等からのヘッドハンティング
- 友人や知人が経営している会社からの引き抜き 等
たとえ、会社に不満を持たない社員であっても、熱いオファーや好待遇に心が揺らがないとも限りません。
また中には、悪意のある第三者から企業の機密情報を目的に社員に接触し、触発された結果、退職、転職へと繋がってしまう危険も想定されます。
貴重な「人財」の流出を食い止めるため、せめて、会社のメールアドレスには外部からの危険な誘惑が無いか、企業側がメール監査等で事前に察知し、対策を講じることができるのではないでしょうか。
- リクルート関連会社、スカウト会社から社員宛のメールのブロック?
- 「転職」「面接」等のキーワードがあれば保留させる?
給与待遇や福利厚生の環境改善、社内コミュニケーションの整備等、内部要因に関する対策はもちろん必要ですが、貴重な社員を奪われないよう誘惑から守ることも重要ではないでしょうか。