ITにおける創意工夫の変化
株式会社エアー サポート担当
みなさんはゲームはお好きでしょうか?
好きな方なら『ドラゴンクエスト』はご存じですよね?
現在ではナンバリングシリーズとして11作品が発売され、12作品目が待たれるところです。
そんなドラゴンクエストですが、約40年前に発売された第1作目で使用されている容量はどれだけあったかご存じでしょうか?
現代では100GBを超える大作もいくつか発売されているし、ちょっとした画像ファイルでも数100KBになるので、さすがにMBはあるでしょ?と思う人もいるのではないでしょうか?
実はそんなことはなく、使われていたROMの容量はわずか64KB、長めのテキストファイルでその容量に到達してしまうほどです。
なぜこれだけのサイズに収まっているのか、それは製作者による創意工夫の積み重ねによるものです。
例えば、本作には平仮名以外に「コマンド」といったカタカナ表記もありますが、すべてのカタカナ文字は実装されていません。モンスター、アイテム、町といった名詞をすべて洗い出し、その中で使われる頻度の高い19文字(見た目があまり変わらない「へ」「り」を入れると21文字)だけを使い、使えない文字がある場合は言い回しを変えたり一部平仮名に変えることで容量を削減していました。
当時の限られた資源という背景がこういった創意工夫を生み出す形になったんだろうと推測されますが、資源豊富で色々と便利になった現代では、果たして不要となった技術なのでしょうか?
上記は「少ないものをいかにうまく使うか」の話になるので、現代ではここまでのことはやらなくてもよいかもしれません。
では「豊富なものをいかにうまく使うか」という点ではどうでしょうか?
現代では数十年前と比べ、取り扱うデータ量が膨大になって、リソースも十分に使えるようになりました。仮想サーバなどは、そんな十分に使えるリソースというものを活かした最たる例ではないでしょうか。
従来であれば、サーバは1台1台設置してそれぞれで使うものでしたが、リソースが十分に使える頃から、1台のサーバの中に何台ものサーバを仮想的に立ち上げるというのは『豊富なものをうまく使い、設置スペース・電力の削減やリソースを無駄に余らせない』ようにした創意工夫のたまものだと感じます。
また、キャッシュもその一つです。一度取得したデータを一時的に保存しておくことで、同じデータを何度も取りに行く必要をなくし、通信や処理の負荷を減らしています。
これも、増えた記憶領域を利用して別の資源を節約する、現代ならではの工夫と言えるでしょう。
そんな「豊富なものをいかにうまく使うか」でいろいろと創意工夫がなされていましたが、近年、AIの急速な発達によって状況が少し変わってきました。
AIには大量の計算資源が必要であり、GPUなどの半導体やデータセンターの電力といった資源が、重要になり、再び「少ないものをいかにうまく使うか」という点での創意工夫が求められる時代になっていたりしないでしょうか?
こうして考えてみると、ITにおける創意工夫は、決して過去のものになったわけではないのかもしれません。
64KBという限られた容量の中にゲームを収めるための工夫から、豊富なCPUやメモリを効率よく使う仮想化、余った記憶領域を利用して通信や処理の負荷を減らすキャッシュ。そして現在は、AIによって増大する計算資源への需要にどう対応するかという問題も生まれています。
技術が進歩すると、工夫が必要なくなるのではなく、工夫する対象そのものが変わっていくのではないでしょうか。
かつては「少ないものを、いかにうまく使うか」。
そして現在は「豊富になったものを、いかに効率よく使うか」。
さらにこれからは、再び「限られた資源を、いかにうまく使うか」という問題に戻っていくのかもしれません。
AIが人間の仕事を代替していく一方で、人間にしか思いつかないような、常識にとらわれない創意工夫が、これからのITをさらに進化させていくことにも期待したいところです。
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