株式会社エアー 吉井明夫
企業ユーザーは日々平均125通の電子メールを送受信し、受信メールの内15%はスパムウエアや悪意のあるソフトウエアを含む有害なメールといわれています。(注1)
大量のメールが行き交うに伴ってメールによる不正な企業活動や悪意のあるメールによる被害、有害メールの伝搬など、メールにかかわる企業リスクが増加しています。
ここでは電子メールによる企業の不正活動のリスクと訴訟リスク回避を中心に考えます。
企業の電子メールに内在するリスク
- 不公正取引(独占、不当廉売など)
- 不当な取引(カルテル、入札談合)
- 不透明な取引と不正会計処理(損失の原因隠ぺい、粉飾決算)
- ハラスメント
- 守秘義務の違反、情報漏洩
- 従業員のプライバシー、名誉の毀損
- ウイルスやマルウエアによるデータ破壊や有害メールの伝搬
近年、米国司法省は反トラスト法で電線や自動車部品を対象としたグローバル企業の不公正取引の捜査を進めてきました。その結果日本企業に対して巨額の罰金、個人への罰金と1-2年の禁固刑という制裁が行われました。2010年頃より品目を変えながら日本企業に対するカルテル摘発の動きが顕著になりました。
以下の項でそれぞれのリスクについてより詳しく考えていきます。
企業リスク
カルテルと入札談合 >>
贈収賄 >>
不正な会計処理 >>
情報漏えい >>
企業リスク関連ニュース >>
注1 2015, THE RADICATI GROUP, INC. 調査より
参考文献
- 「国際カルテル事件における各国競争当局の執行に関する事例調査報告書」2016年、経済産業省
- 「米国Eディスカバリーと企業の電子情報 管理」早稲田大学, 瀧澤和子, 2014, 情報通信学会
- 「独占禁止法コンプライアンスの諸課題,」 第5回大阪大学企業コンプライアンス研究会, 池田毅・内野雅彦・大澤恒夫・武田邦宣・品田智史・福井康太・松中学・水島郁子, 2014
- 「外国公務員贈賄防止指針」 平成29年9月改訂 経済産業省
- 「アメリカの刑務所に入らないために」という反トラスト法についての刺激的なレポートを公開された長島・大野・常松法律事務所に謝意を表します。