不正はなぜ起きるのか ニデック社の事例に学ぶ組織不正
株式会社エアー マーケティング担当
今年4月に第三者委員会が不正会計の最終調査報告書を公表したニデック社では、最終的に検査データの改ざんや品質不正も明らかになりました。場合によっては刑事罰に問われることもある不正行為になぜ大勢の人が加担するのでしょうか。そのヒントは調査報告書から窺えます。
ニデック社はM&Aを事業の柱として事業を拡大し、グループ会社が約350社にのぼる大手企業です。今回はそのグループ企業の広い範囲で不正が判明しました。
背景には創業者の永守氏に大きな権限が与えられ、「赤字は悪」の考えのもと過度な業績目標が課せられていたことにあります。本社の執行役員が連日会議を開き、子会社の幹部に対し目標を達成していないことを責めていたように、業績目標のプレッシャーが事業部門や子会社にも転嫁されていました。
その結果2020年ごろから不正会計が行われるようになり、監査法人に対して虚偽の説明をしたり情報を隠したりする行為もあったようです。不正に加担したと思われるグループ会社のCFOや経理部長は頻繁に交代しており、中には心身の不調で退職したCFOがいたことも分かっています。
不正のトライアングル理論では、動機・機会・正当化の三要素が揃うと不正が起きると言われています。 過度なノルマ(動機)、特定の人物に権限が集中する組織体制(機会)、不正を行わなければ叱責される(正当化)状態はこのような不正の温床となります。
多くの不正で共通しているのは、不正を行う意思のある人が最初からいたのではなく、断りづらい環境や異議を唱えられない組織風土が存在していたことです。
今回の場合も退職者が出ても不正が続いたことから、組織体制に大きな課題があると考えられます。この問題は根が深く、権限が集中していた個人がいなくなったとしても、不正を容認する組織風土の改善には時間がかかります。
ニデック社の事案は不正が個人のモラルの問題ではなく、組織の目標設定や権限構造、企業文化によって引き起こされることを示しています。不正を防ぐには、社員個人への教育に加え不正が起こりにくく、起こっても早期に発見できる組織づくりが必要です。
参考)ニデック社HP「第三者委員会の調査報告書の公表 及び当社の対応に関するお知らせ」
https://www.nidec.com/files/user/www-nidec-com/corporate/news/2026/0303-01/260303-01jp.pdf
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