企業不正の「手前のやりとり」 ~「動機」を与えるやりとりのキーワード例~

株式会社エアー 営業担当

企業不正を生む3つの要素

個人が不正行為に至る心理的要因を「機会」「動機」「正当化」の3つの要素から評価するモデルが存在します。一般に、米犯罪心理学者ドナルド・レイ・クレッシーが提唱したと言われる「不正のトライアングル」理論です。当モデルにおいては、3要素が全てそろわなければ不正は発生しづらい、とされています。よくある例を以下に紹介します。

=赤信号を渡ってしまうとき=
・機会:車両は接近しておらず、周りの目も無い。
・動機:アポイントに遅刻しそうで、急いで目的地に向かう必要がある。
・正当化:皆やっている。目的地へ早く到着する必要がある。
各要素が欠けた場合
・機会:車両接近や、他の歩行者の目がある状況においては赤信号を渡りづらい。
・動機:そもそも遅刻しそうでなければ赤信号を渡る必要はない。
・正当化:当人の考えや社会規範において許容されないのであれば、行為に至らない。

上記3要素のうち、企業において対応しやすいのは「機会」の排除であると考えられます。この例で言えば、交通整備員が配置され、常に横断を注意されているような状況下においては、信号無視の機会が訪れることは少ないと言えるのではないでしょうか。
他方、動機・正当化は個人の主観に強く依存する要素であり、教育や指導によって多少改善が見込まれることは予想されますが、物理的な対策を行うことは難しいと考えられます。とはいえ、私は「動機」から不正行為の未然防止へアプローチできる可能性はあるのではないかと考えています。

「動機」に関する検証

今回は上記の例の、「動機」の要素にもう一歩踏み込んで、「なぜ遅刻してはいけないのか」を当人がどう評価しているか考えていきます。例えば、以下の2例においては後者の方が赤信号を渡る可能性が高いと言えるのではないでしょうか。

①気の置けない友人が先にカフェに入って待っている、「遅れそうだ」と連絡しており「構わない、ゆっくり来て良い」と返事が来ている。
②上司から日頃より時間の管理については厳しく指導されている。今日は重要な商談のアポイントであり、しかも当取引先には一度遅刻したことがある。

上記②の例において動機となりうる要因はいくつかありますが、少なくとも「上司からの厳しい指導」は正当なものであるように見受けられます。しかしながら実際の企業内・企業間不正の事案では、このような「厳しい指導」が部下の不正行為の動機となってしまう例が散見されます。
よって、日頃のコミュニケーション監査においても、指導を受けた(動機を得た)対象がどのような行動を取ろうとしているのか分析することは、不正を未然防止する1つの手段となるのではないでしょうか。繰り返し強調したいのは「指導それ自体は問題とならないのであり、それを受けて部下がどのような行動をとるのかが分析対象となる」点です。

メールアーカイブ・監査ソリューションを提供する株式会社エアーでは、以下のようなキーワードが不正の動機に繋がると考えています。

(キーワード例)
「予算」「目標」「数字」「必達」「絶対に」「当たり前」「未達」「ありえない」「何がなんでも」「是が非でも」「仲間」「信じて」「頑張って」「補填する」「誤魔化す」「わざと」「バレない」「言い訳」

これから不正監査を実施する担当者様におかれましては、ぜひ当コラムが1つの参考となれば幸いです。コミュニケーション監査についてより深いナレッジ提供をご希望であれば、株式会社エアーまで気兼ねなくお問い合わせください。

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