生成AI時代のメール監査 -企業リスクと情報漏えいをどう防ぐか-

株式会社エアー 営業技術担当

企業活動においてメールは、今なお最も重要なコミュニケーション手段の一つです。
業務連絡、契約内容の確認、顧客情報の共有など、日々膨大な情報がメールを通じてやり取りされています。一方でその裏側には、情報漏えいや不正行為といった深刻な企業リスクが潜んでいます。こうした背景から、メール監査は単なるコンプライアンス対応にとどまらず、企業経営を守るための重要な施策として位置づけられるようになりました。

従来のメール監査は、特定のキーワード検索や抜き取りチェックなど、人手を前提とした方法が中心でした。しかし、このアプローチには限界があります。まず、企業活動でやりとりされるメールの量は圧倒的に多く、すべてを人が確認することは現実的ではありません。また、監査担当者の経験や勘に依存する部分も大きいため、判断のばらつきや見落としが発生しやすいという課題もあります。その結果、監査そのものが形骸化し、「問題が起きた後に振り返るための作業」になってしまうケースも少なくはありません。

こうした課題を打破する手段として近年注目されているのが、生成AIを活用した「監査業務の負荷軽減」です。
生成AIの発達は目覚ましく、画像や文章の生成、要約、さらには検索ツールの一部としてなど、数多くの分野で活用が進んでいます。メール監査においても、単なる文字列の一致にとどまらず、文脈や言い回し、過去の傾向との違いを踏まえた分析が可能になりつつあります。たとえば、通常とは異なる相手とのやり取りの増加、業務上不自然な時間帯での送信、曖昧な表現による情報の持ち出しなど、人の目では見逃しがちな「違和感」を検知することができる可能性があります。これにより、監査は事後対応から、リスクの兆候を早期に察知する予防的な取り組みへと進化しています。

ここでよく挙げられる疑問が、「意図して不正を行う人は、検知に引っかかるようなメールを送るのか」という点です。
意図して不正を行う人は露骨な表現や明確な証拠を残さないよう注意し、その行為に及ぶことが考えられます。業務を装ったやり取りや、曖昧な表現、関係者しか分からない前提を用いたメールなど、検知を回避するための工夫をする可能性は高いでしょう。
生成AIは、「一通一通では問題なさそうに見えるが、全体として見ると不自然」といったパターンを捉える点に強みがありますが、すべての傾向や不正を検出できるわけではありません。検出できなかった場合、その行為に気が付けないリスクが残る点には注意が必要です。特に、監査業務の負荷軽減のみを目的として生成AIを利用した場合、検知されなかったメールが監査対象から外れてしまう可能性も高まります。

情報漏えいは、発生した瞬間だけでなく、その後の企業活動にも大きな影響を及ぼします。顧客からの信頼低下、ブランド価値の毀損、損害賠償や行政指導など、経済的・社会的ダメージは計り知れません。だからこそ、メール監査を通じて内部リスクを可視化することは、企業リスク管理の要となります。

重要なのは、生成AIによる監査の主目的を「監査業務の負荷軽減」としないことです。
結果として負荷軽減の効果が得られることがあっても、本来の目的は、あくまで人の目では見逃しがちな「違和感」を捉え、リスクの芽を早期に発見し、大きな問題に発展する前に対処する点にあります。生成AIに過度に依存することなく、適切なセキュリティポリシーやルール設計と組み合わせて活用することで、企業リスク対策としてより高い効果を発揮します。今後、生成AIをどう使いこなすかが、企業リスクマネジメントの成熟度や監査業務のあり方を左右していくと考えられます。


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